DXコラム

2025.04.28

保険代理店におけるAI活用の方向性
~2025年度版~

編集長のP太郎です。

2022年11月にchatGPTが登場してからすでに2年が経ちました。膨大な知識を持ち、人間のように受け答えをするAIチャットボットに、多くの人に衝撃を与えたのではないでしょうか。当時はGPT-3だったエンジンも何回かアップデートされてきており、さらに来月にはいよいよGPT-5への大型アップデートが予定されています。OpenAI社のCEOによると「かなり賢くなる」とのことで、どのように進化するのか私自身も楽しみにしています。

一方、保険代理店業界におけるAIの活用は、ほとんど進んでいないのが実態です。
保険業界全体を見渡すと、保険会社では様々な取組(例:保険業界のAI活用事例15選完全解説!導入メリット・デメリット、リスクも解説【2025年最新版】)が進められてきてはいるものの、保険代理店がその恩恵を受ける機会はさほど多くないように思います。これらの取り組みから開発された諸機能が、ゆくゆくは保険代理店向けのシステムに搭載されるの可能性はあるものの、保険会社の営業担当者に確認したところ、「構想はあるが時期は未定」との回答でした。

実際、保険会社の活用事例の多くは、保険会社の内部事務の効率化を目的としたものであり、保険代理店が直接活用できる機能や仕組みはまだ限定的です。また、AI活用以前に、例えばペーパーレス化にともなうWeb更改システムの改善など、基本的な課題への対応が依然として優先されている状況も見受けられます。


弊社では、「保険代理店のDXにAIは活用できるのか?!」でご紹介したとおり、2023年4月にchatGPTをベースにしたAIチャットボットを構築して、全社員がセキュアに利用できる環境を用意しました。しかしながら、残念なことに、その活用状況や次の段階への進展は計画どおりには進んでいません。

理由は2つあります。
一つは、AIチャットボットの主な利用者が全社員の20%程度に留まり、その大半は「検索エンジン代わり」の用途に留まっていることです。利用頻度が限定され活用の幅が広がらない状況では業務改善効果が十分に得られず追加の取り組みを投じることは難しい状況でした。(これに対しては、昨年度末に「保険代理店業務に使えるプロンプト集」を拡充し、社内研修等を通じて、既利用者には活用の幅を広げてもらい、未利用者には使ってもらえるような取り組みをスタートしています。)
もう一つは、前述の保険会社での取り組みと同様に、AI活用領域以外での業務効率化の取り組みに優先的にリソースを割かざるを得なかったことです。成果の見えにくいAI活用研究への投資は限定されてしまいました。(前述の「プロンプト集」も本来はもっと早くバージョンアップする予定でしたが、他のプロジェクトを優先したため年度末までずれ込んでしまいました。)

今年度もAI活用への大きな投資が難しい状況や当初計画からの遅れがあるものの、弊社は引き続きチャレンジを続けていきます。AIブームの一段落により機運がやや下火なっているように感じますが、まさにこのような時期だからこそ、根気強く・絶え間なく・地道に取り組んでいくことが肝要と考えています。

■2025年度の取り組みの方向性

以下の3つを柱としています。(昨年から大きな変更はありません!)

1.個々人の業務サポート
引き続き、AIを活用した業務支援の取り組みを継続します。今年度は利用者数や利用頻度に定量目標を設定し、それに基づいた改善策を進めていくことを考えています。
利用ログの詳細分析や利用者からのフィードバックをもとにプロンプトや機能を改良していくと同時に、「AIにしか解決できない問題(業務)」を明確にすることで業務フローにおけるAIの適用領域を見極めていこうと考えています。

2.顧客対応
やはり社内での活用だけでなく顧客対応業務に活用していくことは、高齢化や人材不足が深刻な保険代理店におけるAI活用の一つのゴールと考えています。
AIによる顧客対応を実現するためには、保険業法や保険約款など膨大な情報から正しい回答を導き出す必要があり、RAG(情報検索強化型生成AI)の仕組みが不可欠です。昨年度は社内のITヘルプデスク業務に試験的にRAGの運用を行いましたが、現在は手作業で準備していた文書作成を自動化する改良を進め、社内にあるマニュアルなどの膨大な資料を用いたRAGを実現していこうと考えています。

3.分析と企画
今年度からの新たな取り組みとして、社内データを活用した分析を計画しています。例えば、電話対応履歴や営業活動履歴の分析から担当者にサジェスションをする仕組みや保険金請求データからリスクの高い・低い属性を抽出するなど、社長直轄のプロジェクトがスタートしようとしています。

以上、弊社の取り組みのご紹介を、保険代理店での取り組みの方向性に代えさせていただきました。これらの取り組みが、保険代理店業務の効率化や付加価値向上に繋がることを目指して進めてまいります。
また、同様もしくは新たな取り組みを実施されている保険代理店の皆さまとは、ぜひ情報交換させていただければと考えています。

(編集長・P太郎)


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