DXコラム

2025.05.26

エコシステムを確立して業務効率化!
“企業横断のビジネスフロー改善”とは

編集長のP太郎です。

皆さま、業務効率化の成果を上げるのに苦労していませんか。
我々も長らく苦労してきておりますが、何が難しいのでしょうか。

そもそも、IT投資の効果を測ること自体が難しく(ご参考:IT投資の費用対効果はどう測る?(2024.03.11))、実行前の仮説(費用対効果の試算)が正しいかどうかを検証しにくいことがあげられるかと思います。定量的に把握することが難しいため、業務担当者に”実感”をヒアリングすることになるわけですが、大きなプロジェクトほど推進にかかる負担が大きく、さらに新たな業務フローに慣れるまでストレスがかかるため、リリース直後にポジティブな話を聞けることはそうそうありません。結果として、せっかくコストと労力をかけたプロジェクトでも効果を証明することが難しくなってしまいます。

こういった場面をどう解決していくかは別の機会にお話させていただくとして、今日は、業務効率化には企業あるいは各部門において3つのスコープがあり、そのスコープの設定次第で効果の最大値が決まってしまう、という話をし、そのうえで3つ目のスコープの”企業横断のビジネスフロー改善”について解説・事例紹介をしたいと思います。業務担当者の課題を解決しようと立ち上げたプロジェクトも、このスコープの設定によって効果が限定されるため、期待したほどの効果が得られないことが起こりえるからです。

■ 業務効率化の3つのスコープ
ここでいうスコープとは、業務効率化の取組における「対象範囲」を指します。そのスコープには大きく以下の3つに分類できます。

1)”担当業務”の効率化
最も限定的なスコープは、特定の担当業務の効率化です。このスコープでは、業務担当者自身による業務プロセス改善(業務の仕方の工夫)やツール導入(エクセル関数の活用やマクロあるいはRPAによる手順実行など)が中心となることが多いです。迅速かつ比較的容易に取り組めるため短期間で成果を上げやすいですが、効果は担当業務に限定されてしまいます。

2)”業務フロー”での効率化
次に広いスコープは、業務フロー全体での効率化です。このスコープでは、業務担当者自身の業務にとどまらず、同じ部門や他の部門の業務担当者にまたがるプロセス改善やシステム統合が含まれます。取り組みには一定の時間と労力(利害の調整!)がかかりますが、効果は複数の業務担当者(部門)に波及するので、より大きな効果が期待できます。

3)”社外”も含めた効率化
最も広いスコープは、社外も含めた効率化です。このスコープでは、サプライチェーン全体(お客さまやパートナー企業、仕入先)との連携強化が含まれます。効果は広範囲に及びますが、実行には高度な調整と確かな協力関係が求められます。

弊社が昨年より取組を着手したのが、この「社外を含めた効率化」です。

■”企業横断のビジネスフロー改善”とは
お客さまやパートナー企業、そして仕入先などの”社外”の方々の業務もスコープに入れて改善する、それが「企業横断のビジネスフロー改善」の基本的な考え方です。保険代理店業務においては、お客さまはご契約者さま、仕入先は保険会社、パートナー企業はビジネスの形態にもよりますが、代理店分担先の保険代理店であったり、団体制度の提供先や共同運営者を指しています。これらの社外の方々の理解と協力がないとうまくいかない、そのような意味を込めて、”エコシステム”を確立する必要がある、と表題に書かせていただいています。

ビジネスの世界におけるエコシステムとは「企業同士や企業と顧客が連携し、互いに価値を生み出す仕組み」と定義されています。ここで重要なポイントは互いに価値を生み出すというところです。自社の業務が効率化するものであっても、お客さまなど社外の方々にご負担になるような仕組みではご理解とご協力は得られません。よって、その業務に携わる”関係者”の業務を知り、ともに改善に取り組む姿勢が不可欠です。

「社内でも大変なのに社外まで含めて考えるなんてできないよ」「お客さまにそんなお願いなんかできるわけないじゃん」。弊社でもそういう声は少なくなかったです。でも悲観することはあまりありません。我々にとって煩雑な業務は往々にして社外の関係者にとっても煩雑であるケースは多く、「一緒に解決していきませんか」という姿勢で臨めば理解を得やすくなります。実際、当社の過去の取組では「ぜひやりたい!」「そういう仕組みを待っていました!」という好反応を示されるお客さまが多いです。

■”企業横断のビジネスフロー改善”がはまる保険代理店業務
余談ですが、企業横断のビジネスフロー改善は保険代理店業務においてはほとんど進んでいませんが、世の中では多くの事例があります。例えば、製造・物流業界ではサプライチェーン全体でメーカー・卸・小売の業務を運用できる統合システムが古くから運用されています。

我々保険代理店業界においては、保険会社が保険代理店との間の業務を効率化するための保険代理店システムを提供していますが、その多くは保険会社側の業務を効率化することに主眼が置かれているものが多いように感じます(もちろん、自動車保険のWEB更改案内メールなど、我々の業務効率化につながる機能も搭載されるようになってきています ※保険会社も色々と試行してもらっています!)。

弊社では、これまでのところ2つの業務領域に焦点を当てています。
一つは、事故対応業務です。もう一つは、異動管理業務です。

<事故対応業務>
事故対応業務の煩雑さは、そのやり取りが複数回にわたり、進捗管理に手間がかかるところです。最初にお客さまから保険金請求の連絡があり、保険会社による有無責の一時判断を経て、お客さまから事故の写真や見積書の提出があり、資料が全部そろってから保険会社の査定があり、保険金支払額が確定してからお客さまに最終的に保険金請求書を提出いただく、・・・というような流れが一般的です。この流れの中において、我々保険代理店には主にメールでお客さまと保険会社とをつなぐ橋渡し業務が発生し、書類やエビデンス資料の管理、進捗の管理を徹底することを強いられます。ミスも発生しやすいこの業務において、お客さまと我々保険代理店、我々保険代理店と保険会社をつなぐプラットフォームは不可欠と考えています。

以下は弊社の取組事例ですので詳しく知りたい方は是非ご覧ください。
クラウドサービス(kintone)活用による異動手続き・事故処理業務の効率化【事故処理編】(2024.12.23)

<異動管理業務>
多くの明細がある契約の異動処理の対応も同様に煩雑です。異動の申請があり、エビデンス資料の提出があり、異動保険料の計算があり、異動申請書の作成があり、最後に明細一覧の更新(保険代理店システムの更新とエクセルなどの管理表の更新)があり、と明細省略の契約であってもかなり煩雑です。さらに、お客さまからも「この申請したか」という照会も少なくありません。
弊社では明細が多い火災保険や自動車フリート保険に着目して、ともに改善に取り組んでいただけるお客さまに打診し取組を進めています。

以下も前述と同じシリーズの取組事例となりますが詳しく知りたい方は是非ご覧ください。
クラウドサービス(kintone)活用による異動手続き・事故処理業務の効率化【異動手続き編】(2024.05.06)

業務効率化には「担当業務」「業務フロー」「社外を含めた業務フロー」の3つのスコープがあり、その範囲の設定が効果の最大値を決定します。特に「企業横断のビジネスフロー改善」は、社外の関係者との連携を深めることで、業務の煩雑さを解消し、持続的な効率化を実現できる重要な取り組みです。弊社では、事故対応業務や異動管理業務において、クラウドサービスを活用しながら改善を進め、関係者と共にエコシステムを構築することで大きな成果を得ています。業務改善の枠を広げることで、企業の枠を超えた効率化を実現できる可能性が広がります。
取組課題がある保険代理店様は是非ご相談ください。

(編集長・P太郎)



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