DX事例

2024.10.28

PowerAutomate for Desktopによるメール送信ツールの作成

こんにちは!唐揚げニストです。
今回は、Power Automate for Desktop(以下、PAD)を活用したメール送信ツールをご紹介いたします。
社外のお客様企業に対して月に一回ファイルを連携する業務が存在し、そのためにファイル共有サーバーを用意し、そのサーバー内で対応を行っていました。ファイル共有業務の効率化を図るために本ツールを作成いたしましたので、以下でご説明いたします。

1.概要
まず、業務の概要について簡単に説明いたします。
弊社では、グループ内の給与天引きで対応している団体保険について、数百に及ぶお客様企業に対して毎月必要なファイルを連携しています。ファイル共有サーバーでお客様企業ごとにフォルダとして管理しており、お客様企業の追加や利用者の増減があった際には、弊社利用部門からIT部署にワークフローで申請を行い対応する運用になっています。このフォルダの管理が二重管理のような状況になっており、さらに作業自体にもかなりの時間を割いているため、可能であればこの業務をなくしたいと考えていました。
このメール送信ツールを導入するきっかけになったのは、脱PPAP対応でした。PPAPとは「Password付きZIPファイルを送ります、Passwordを送ります、Aん号化(暗号化)Protocol(プロトコル)」の略で、メールに添付したパスワード保護されたファイルとそのパスワードを別々のメールで送る方法です。セキュリティに問題があるとして、世間一般では脱PPAP対応が進んでおり、弊社でも2024年9月より、送信する際にHENNGEというツールを利用することで対応を始めています。
HENNGEを簡単に説明しますと、ファイルをメールで送信する際に、添付ファイルが自動的に別のサーバーに保管され、そのリンク先が代わりに送信されるというものです。リンク先からダウンロードするには、宛先に指定したメールアドレスによる認証が必要になります。
上記の内容をまとめますと、社内からファイルを含むメールを送信すると、HENNGEにより自動でファイルがサーバーにアップロードされるようになります。これにより、ファイル共有サーバーを使用せずに、ファイルを含むメールを送るだけでセキュアなファイルの連携が可能となります。

【図1】HENNGE概要
HENNGE概要

2.対応内容
メール送信時のファイルのサーバーへの保存についてはHENNGEの機能に任せています。対応が必要な送信先企業の管理表の整備とPADのフローの作成を進めていきます。送信先企業の管理表は、これまで使用してきた管理表に必要な項目を追加し、修正します。なるべく管理しやすいようにシンプルに整理しましたが、今後他の情報を追加する場合でも、PADはテーブルの各列の先頭の項目を列名として認識するため、列名が変わらない限り問題はありません。
メール送信の自動化については、前述の通りPADで実装しました。メールの送信のみを行うため、そこまで複雑なものではありません。PADにはメール送信用のアクションが存在するため、これを使用しました。画面操作を行ってメールを送信する必要はありません。(画面操作では、メーラーを起動し、新規作成画面で宛先設定からファイルの添付、送信といった動作を画面上で自動化しなければならず、メール送信アクションを使用するよりも不安定になります。)その代わりに、SMTPサーバーの情報を入力する必要がありますが、動作の安定性が大幅に向上しますので、メール送信の自動化を検討される方にはメール送信アクションをおすすめします。

【図2】メール送信企業管理表
メール送信企業管理表

【図3】PADメール送信フロー
PADメール送信フロー

【図4】PADメール送信アクション
PADメール送信アクション

3.まとめ
今回ご紹介した内容は、メール送信の自動化についてでしたが、他の要因(HENNGEの導入)によっても実現が可能になったものです。このように、以前から行っている業務について、一見関係ないような新しいシステムの導入により改善できる可能性もあるため、日々何ができるのか考える必要があることを再認識しました。
PADには他にも、メール送信の方法としてOutlookを起動してその情報を利用して送信する方法や、Exchange Serverに接続して送信する方法などがあります。さらに、MS365のOutlookと連動してメールを送信することもできますが、こちらは有償ライセンスが必要になります。このように、メール送信と言ってもさまざまな実装方法があるため、その時々に合わせた方法を考えることがIT部署の存在意義だと考えています。
PADは無料で利用でき、リリース初期と比べて安定性もかなり向上していますので、ぜひご活用いただければと思います。もちろん、業務効率化のご依頼やご相談も随時受け付けておりますので、気軽にご連絡ください!

(編集者:唐揚げニスト)

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