DXコラム
2024.11.11
システム移行作業で失敗しないための勘どころ
こんにちは。編集部員の”まんでがんうどん”です。
今回はシステム導入における最後の難関【移行作業】について、失敗しないための勘どころ・注意点をご紹介いたします。
ご承知の通り、システム移行は、新たなシステムを導入し、既存システムや現行運用から切り替える工程です。
システム開発の最終段階であり、事前の準備が不十分なまま移行を進めると、システム障害や業務混乱を引き起こし、大きな損失に繋がる可能性があります。例えば、システム移行作業に時間が掛かり業務開始になっても新システムでの運用がスタートできなかったり、移行データに不備があり想定外の不具合が見つかり利用できないことや、マニュアル不備や十分な教育を行わないままシステムリリースして業務運用が回らないなどなど。。。
そのため、新システム導入にあたっては移行前に綿密な計画を立て、移行作業を明確にして進めることが非常に重要です。
■移行計画書には何を書くのか?
システム導入における移行作業としては、大きく【業務移行】【システム移行】【データ移行】の3つに分類されます。
この業務移行、システム移行、データ移行を計画的に作業を進められるよう移行計画書を作成します。
移行計画書の構成例としては以下の通りです。
<移行計画書の構成例>
1.目的とシステム機能概要
関係者間で共通認識が図れるよう移行作業の目的と導入システムの機能概要を記載します。
2.移行対象
移行対象資産を「業務移行」、「システム移行」、「データ移行」に分類します。
3.移行方法
各移行対象資産をどのような方法で移行するか、有事の際の切り戻しをどのように行うかなどを記載します
4.移行作業時の業務影響
移行作業中の業務影響・業務制約を記載します
5.移行スケジュール
移行作業のスケジュールを記載します
6.移行体制
体制図や役割分担表などを記載します
上記は、代表的な構成となりますので導入システムの規模などを考慮し、必要な作業を可視化するようにいたします。
■移行作業で特に明確にしておくこと
上記の通り、移行計画書の構成例をご紹介いたしましたが、特に以下の項目を明確にすることで、よりスムーズに移行を進めることができます。
(1)業務移行
新システム稼働後の業務運用について、手順書やフォーマットを作成し、関係者への周知や教育訓練を行うことで、業務の円滑な移行を図ります。特に、既存システムとの差異や新機能の使用方法について、具体的な説明を行うことが重要です。
【未実施時のリスク】
新システムの利用方法がわからず業務運用が回らない、当初見込んだ業務改善効果が得られないなど
(2)システム移行
ハードウェアやソフトウェアなどの移行手順や順序性を明確にし、移行資産の漏れや移行タイミングの妥当性を確認します。また、移行に伴う設定変更やパラメータ調整についても詳細に計画を立てます。
【未実施時のリスク】
計画通りにシステムリリースができず機会損失が発生、リリース後にシステム障害が発生するリスクが潜在化するなど
(3)データ移行
新システムで利用するデータを整理し、あらかじめデータ移行を行うことで、システムリリース後に速やかに業務運用を開始できるようにします。データの整合性やセキュリティについても十分に配慮し、データ移行計画を作成します。
【未実施時のリスク】
データが欠落してシステムが動かない、古いデータを移行して誤処理/誤出力が発生するなど
(4)移行作業実施時の業務影響
システム移行により現行業務の運用に制限(一時的な停止など)が発生する場合は、あらかじめ影響範囲を洗い出しし、必要に応じて代替運用や関係者への周知などを行います。
【未実施時のリスク】
システム停止案内の未実施により業務混乱が発生など
(5)移行リハーサル
システムやデータの移行作業(移行手順や移行作業時間など)が問題なく実施できるかリハーサルを行います。リハーサルを通じて、想定外のトラブルが発生した場合の対応策を検討し、移行スケジュールの見直しや移行ツールの改善などを行います。
【未実施時のリスク】
計画通りにシステムリリースができず機会損失が発生、移行作業時のコミュニケーション不足による混乱など
(6)コンティンジェンシープラン
万一、移行作業実施中に不測の事態が発生し、移行中止もしくは延期などが発生した場合の対策をあらかじめ明確にします。復旧手順や担当者を明確化し、迅速な対応ができる体制を整えます。
【未実施時のリスク】
不測の事態が発生した場合の対策がなく対応が遅れ、現行業務への影響が発生するなど
■移行計画を可視化することで得られる効果
システム移行は、プロジェクトの成否を左右する重要な工程です。移行作業を明確にし、綿密な計画を立てることで、リスクを最小限に抑え、スムーズなシステム移行を実現できます。特に、上記の通り業務移行、システム移行、データ移行の3つの側面から、移行計画を策定することが重要です。また、移行リハーサルやコンティンジェンシープランも準備しておくことで、万が一の事態にも対応できます。
ポイントとしては以下の通り。
•移行計画は、プロジェクトの初期段階から検討を開始し、関係者全員が共有することが重要です。
•移行計画は、詳細かつ具体的に策定し、必要に応じて見直しを行うことが大切です。
•移行作業中は、関係者間の連携を密にし、状況を共有しながら進めることが重要です。
以上です。今回は一般的なシステム移行のポイントをご紹介させていただきました。
実際のシステム移行では、システムの規模や複雑さ、業界の特性などに応じて、より詳細な検討が必要となることもございます。またシステム規模が小さい場合は必要最小限の計画としてもよいかと思います。
現在システム導入を進められている方、これからシステム導入をご検討される方の一助になれば幸いです。
(編集者・まんでがんうどん)
お問合せ先
事例やコラムに関するご照会、案件に関するご相談やお見積は以下のフォームからお問合せください。