DXコラム
2024.10.21
テストケースを事前に洗い出すことの大切さ
副編集長の会津藩士です。前回は業務フロー図を作成することの大切さについて記事を投稿させていただきました。今回はプログラム修正後のテストケースを事前に洗い出すことの大切さについてお話できればと思います。
テストケースを事前に洗い出すことは、ソフトウェア開発やシステム導入において非常に重要です。特に実業務部門の方はテストを行うことについて初心者であり、テストの重要性を十分に理解して事前にしっかり計画してから進めることが成功の鍵になります。
まず、テストケースを事前に洗い出すことで、全体のテストが明確になります。これにより、どの機能や業務シナリオをテストする必要があるのかが具体的に把握でき、漏れや大きな遅れが発生せずにテストを実施することが可能です。
計画的なテストは、テスト実施だけではなくプロジェクト進行をスムーズにし、後々の手戻りを防ぐ効果があります。
次に、リソースの最適化が図れます。テストケースを事前に洗い出すことで、必要なリソース(人員、時間、データやツールなど)を適切に配分することができます。これにより、無駄なリソースの浪費を防ぎ、効果/効率的にテストを進めることができます。
そして、品質維持/向上にも寄与します。事前にテストケースを洗い出すことで、潜在的なBug(不具合)や問題点を早期に発見することができます。これにより、リリース前に問題を修正する時間が確保でき、最終的な製品の品質を高めることができます。
最後に、コミュニケーションの円滑化にもつながります。テストケースを事前に共有することで、チーム全体が同じ認識を持ち、協力してテストを進めることができます。これにより、誤解や認識のズレを防ぎ、プロジェクトの成功に寄与します。
以上のように、テストケースを事前に洗い出すことは、プロジェクトの成功に不可欠です。初心者の方もこれら重要性を理解し、計画的にテストを進めることで、非常に良いテスト成果を得ることができると考えます。
<テストケースを考える時に大事な3つの観点>
①機能要件の網羅性
機能要件の網羅性は、テストケースを作成する際に最も重要な観点の一つです。修正により必要なすべての機能を正しく実装しているかを確認するためのものです。具体的には、以下のようなポイントに注意します。
まず、全ての機能要件をリストアップします。プロジェクトの要件定義書や仕様書を基に、システムが提供すべき機能をすべて洗い出します。このリストを基に、各機能に対してテストケースを作成します。
次に、各機能の詳細なテストケースを作成します。例えば、ユーザーがログインする機能であれば、正しいユーザー名とパスワードでログインできるか、間違った情報でログインを試みた場合の挙動はどうか、などをテストします。
また、機能間の連携も重要です。例えば、ユーザーがログインした後にアクセスできる機能が正しく動作するか、ログアウト後に再度ログインを試みた場合の挙動など、システム全体の流れを考慮したテストケースを作成します。
最後に、テストケースのレビューを行います。チームメンバーやステークホルダーと共有し、漏れや重複がないかを確認します。これにより、テストの網羅性を高めることができます。
レビュー会は少し面倒だと感じる方も多いようですが、全体の意識を合わせたり、有識者からだけでなく、システムや実業務をまだ詳しく知らない人からの素朴な疑問も大切な確認ケースとなることも少なくありません。ケースレビュー、実施結果レビューは必ず関係者を集めて実施したいところです。
②ユーザー視点のシナリオ
ユーザー視点のシナリオは、実際の業務対応についてユーザーがどのシステムを利用するかを想定したテストケースです。これにより、ユーザーエクスペリエンスの向上を図ることができます。具体的には、以下のようなポイントに注意します。
まず、実業務でユーザーがどのような操作を行うか、どの機能を頻繁に使用するかを確認します。これに基づいて、ユーザーが実際に行う操作をシナリオとしてテストケースに反映します。年1回しかない業務や特別対応の業務などが漏れやすいので、年間の実業務を振り返りながらケースをチェックしてケース品質を向上させます。
次に、ユーザーにとって使いやすいインターフェースであるかの確認を行います。例えば、ボタンの配置やメニューの構成が直感的で使いやすいか、エラーメッセージが分かりやすく表示されるかなど、ユーザーがストレスなく操作できるかを確認します。一括登録/削除や外部ファイルなどを利用した取込/削除処理など、大量データに対してユーザーが効率的に業務をすすめられるかも非常に大切です。
また、テスト期間中に進捗確認会や台帳管理でユーザーのフィードバックを反映します。これを基にテストケースを修正・追加し、より実際の使用状況に近いテストを行います(必要に応じて、再テストも発生します)。すべてのユーザーにとって使いやすいシステムが提供されているかを確認することもとても大切です。
③異常系テスト
異常系テストは、システムが予期しない入力や操作に対してどのように対応するかを確認するためのものです。これにより、システムの堅牢性を高めることができます。具体的には、以下のようなポイントに注意します。
まず、異常な入力データのテストを行います。例えば、入力フィールドに極端に長い文字列や特殊文字を入力した場合の挙動を確認します。これにより、システムが不正なデータに対して適切に対応できるかを確認します。
次に、システムの負荷テストを実施します。大量データや高頻度のリクエストに対してシステムがどのように動作するかを確認します。これにより、システムパフォーマンスやスケーラビリティを評価します。
また、エラーハンドリングの確認も重要です。システムがエラーを検出した際に、ユーザーに適切なエラーメッセージを表示し、システムが安定した状態を保つかを確認します。ユーザーに対してよく分からないエラーメッセージはまったく役に立ちません。
<まとめ>
テストケースを事前に洗い出すことは、プロジェクトの成功に不可欠なステップです。機能要件の網羅性、ユーザー視点のシナリオ、異常系テストという三つの重要な観点を考慮することで、システムの品質を高めることができます。
(副編集長:会津藩士)
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