DXコラム

2024.02.26

“みんな大好き!エクセル”の問題点とその脱却方法

みなさんの会社では一体いくつのエクセルファイルが存在しているか考えたことはありますでしょうか。
実際に数えている会社はほとんどないと思いますが、約200名規模の弊社では稼働中のファイルだけでも実に1,000ファイル以上は存在しています。

 

エクセルは、表計算やグラフ作成などの機能が豊富で、誰でも手軽に作成でき加工もしやすい、という大きなメリットがあります。一方で、エクセルには、使い勝手がよいがゆえにファイルが無数に増えてしまうことでデータが散在・重複したり、組織的な管理がなされないエクセルによって業務の属人化が起きたりするなどの問題点もあります。これらの問題点が、業務効率化のために使用しているはずのエクセルが、逆に新たな業務効率化を阻む要因になっている場面が増えてきていると弊社では考察しています。

 

そこで、この記事では、エクセルの問題点を改めて整理し、業務効率化や生産性の向上に貢献する方法として、エクセルからクラウドベースのデータ管理ツール(※)への移行を提案します。また、エクセルのすべてを移行すべきではないため、移行を検討すべきエクセルのポイントについても解説します。
※クラウドベースのデータ管理ツールとは、インターネットに接続されたサーバー上でデータを管理や共有、編集やコメント、ワークフローや通知などの機能を提供するツールです。弊社では主にkintoneを活用しています。

 

 

■なぜエクセルが業務効率化を阻害するのか

冒頭の繰り返しになりますが、エクセルは使い勝手がよいがゆえに無数に増えていく性質があります。無数に増えるエクセルの何が悪いのでしょうか。

 

データが散在・重複する
同じ内容のデータが複数のエクセルファイルに分散しているような場合、情報の一貫性や整合性が保たれにくくなります。例えば、顧客情報や契約データなどが複数のファイルに分かれて保存されている場合、更新漏れや誤った情報が発生しやすくなります。

 

個人が作るエクセルは標準化されにくい
個人が作成するエクセルは標準化されにくいため、同じ業務でも異なる形式やレイアウトでデータが整理されています。これにより、他の担当者やチームメンバーが理解しにくく、情報の共有や利用が困難になります。また、標準化されていないデータのため、分析や報告の際にも一貫性が欠如してしまいます。

 

標準化されていないエクセルは属人化を生む
標準化されていないエクセルは他の関係者にとってわかりにくいものです。当然、わかりにくいものは属人化することになります。時にはファイル名やシート名のネーミングが内容を表現していないようなエクセルも少なくありません。まったく性質の異なるデータ類が同じファイルの別エクセルに格納されていることもしばしば見かけます。こういった体系的でないエクセルが他者の理解をはばみ、属人化を生むのです。

 

属人化されたエクセル(業務)は改善されない
属人化されたエクセルにもとづく業務も同様に属人化しているものです。自分ではその業務手順がベストだと思っているから自ら改善できる人はそう多くはありません。そういった業務が代々受け継がれているのが一般的であるため何のためにやっているのか(作成されたものが何に使用されているのか)分からないようなケースも散見されます。また、属人化された業務は他者にとって分かりにくいものです。手順や意義が不明瞭な業務について改善することはほぼ不可能です。業務が説明できない、解明に手間・時間がかかる、よって手をつけられない、こういった業務が内在しているのが実態です。

 

 

■エクセルからクラウドベースのデータ管理ツールへの移行のメリット

組織的な管理がなされないエクセルがもたらす業務の属人化を解消する方法の一つとして、エクセルからクラウドベースのデータ管理ツールへの移行があります。いま使っているエクセルの統廃合やルール策定を行うのも一手ですが、クラウドベースのデータ管理ツールを使うことで問題を解消するだけでなく、さらに一歩先の業務に進むことができます。

 

データが集約される
エクセルでは、同じようなファイルが重複して存在していることが多く、データの一貫性や整合性が保たれないことがあります。クラウドベースのデータ管理ツールでは、定められたフォーマットにデータを集約できるため、データの散在や重複を防ぐことができます。また、データの量が容易に増えることはないため、管理や分析がしやすくなります。

 

データが標準化される
エクセルでは、データの入力や加工に人の手によって行われることが多く、データの品質や信頼性が低下することがあります。クラウドベースのデータ管理ツールでは、データの入力にチェックがかかるため、内容が一定の水準に達することが保証されます。また、ファイルの体系やデータの形式も人によって変わらないため、データの比較や分析が容易になります。

 

移行検討は脱属人化の契機となる
この点はクラウドサービス自体のメリットではありませんが、移行検討においては、正しいフォーマットや分かりやすいレイアウトの検討、無駄な手順の精査が行われます。この精査は業務の改善に繋がる重要な契機となります。無駄を省き、シンプルで分かりやすい業務フローを確立するためには、業務手順をゼロベースで再考する必要があります。

 

さらにエクセルでは実現が難しい以下の機能によって活用の幅が広がります。

 

データをクラウドで安全に保管し、いつでもどこからでもアクセスできる
クラウドベースのデータ管理ツールは、インターネットに接続されたサーバー上でデータを保管します。クラウドベースのデータ管理ツールは、インターネットに接続できるデバイスからいつでもどこでもアクセスできます。これにより、データの入手や共有が容易になります。また、データの重複や破損のリスクを減らし、データの一貫性や整合性を保つことができます。

 

データの共有や連携をスムーズに行える
クラウドベースのデータ管理ツールは、データの共有や連携をスムーズに行える機能を提供します。例えば、複数人での同時編集やコメントを行ったり、ワークフローや通知を設定したり、他のシステムやアプリケーションとの連携や同期を行ったりすることができます。これにより、データのやり取りやコミュニケーションを効果的に行うことができます。

 

 

■どのようなエクセルを対象にしたらいいのか

しかし、業務に不可欠なエクセルを一朝一夕に減らすことは容易ではありません。一つのアプローチとして、基幹システムに密接に関連するエクセルを優先的に移行することを提案します。基幹システムとは、会社の業務の中核を担うシステムであり、例えば、保険代理店の場合は契約管理や顧客管理、営業管理などのシステムがこれに該当します。基幹システムに関連するエクセルは、業務の効率化や品質向上に大きな影響を与えるため、移行の効果が高い期待されます。
参考:クラウドサービス(kintone)活用による顧客管理システムの構築

 

また、エクセルからの移行を検討する際に考慮すべき観点は次の通りです。
– 同様のファイルが重複して存在している場合
– 業務の根幹をなす情報を管理し、破損した場合に業務が停滞するような場合
– 複数人での同時編集している場合
– 期限管理などのアラート機能が必要な場合
– データの共有や連携が業務にとって重要な場合
こういったエクセルがある場合は、そこが移行の検討対象になるかと思います。

 

 


“クラウドサービスに移行すべきエクセルを見極めることが肝要”

 

以上、一助になれば幸いです。

 

(編集長・P太郎) 

 

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