DXコラム
2025.01.27
保険契約データを活用した商圏分析
こんにちは、傾奇者です。
最近、ネットで「保険代理店数はここ20年で半減しており、今後も減少し続ける」という記事を目にしました。確かに、従来のやり方を続けてもあまり変化がないように感じますね。そこで、弊社では昨年より新たな取り組みを始めました。それが、保険契約データを活用した商圏分析です。
<商圏分析とは?>
商圏分析とは、特定の店舗や施設の周辺地域における顧客の特性や行動を調査・分析する手法です。これにより、顧客のニーズや市場の動向を正確に把握することができます。弊社では、この商圏分析に保険契約データを組み合わせて、新たなビジネスチャンスを見つけ出すことを目指しています。
商圏分析を行うためには、様々なデータが必要です。弊社で活用する主なデータは以下の通りです。
・保険契約データ
弊社は共同ゲートウェイより契約データを受領しており、どのような顧客がどのような保険に加入しているかを把握することができます。このデータには、契約者名、住所、保険会社、種目、保険料など、様々な情報が含まれています。この情報を活用することで、地域ごとの保険契約の傾向や特性を明らかにすることができます。
・有償、無償の統計データ
無償の統計データは、公共機関の政府統計というサイトが代表的です。このサイトには、市区町村単位の世代別人口や累計年収といった統計データが公開されています。必要なデータを見つけるのに苦労することもありますが、貴重な情報源となります。有償の統計データには、スマホのGPSを利用した人流データやEVスタンドの位置情報など、様々なデータが販売されています。これらのデータを組み合わせることで、より詳細な分析が可能となります。
<商圏分析の手順>
これらのデータを活用して、商圏分析ソフト(GIS分析ツール)に取り込んでいくイメージです。GIS分析ツールを提供する会社も多岐にわたりますが、複数のツールを試行した結果、操作の流れは概ね把握しましたので、以下に記載します。
①対象のプロット(見たい場所を選択、または住所付きデータをインポート)
②商圏範囲の指定(例えば、都道府県やプロットした場所などから〇kmの範囲を選択)
③分析したいデータの選択(世帯種別や年齢別人口などを指定、またはデータをインポートして指定)
④分析結果の表示(結果データはエクスポートも可能)
分析結果データをエクスポートして、BIツール(TableauやPowerBIなど)に取り込むことで、さらに柔軟性のある成果物をアウトプットできます。
<具体的な活用例>
例えば、以下のような具体的な活用例が考えられます。
1. 新規顧客ターゲティング
保険契約データと地域の人口動態データを組み合わせることで、どの地域に新たな保険商品のニーズがあるのかを特定できます。これにより、効果的な営業活動を行うことが可能になります。例えば、若年層が多い地域では、学資保険や若者向けの自動車保険の需要が高いかもしれません。
2. リスクマネジメント
地域ごとのリスクデータ(例えば、災害リスクや犯罪リスク)と保険契約データを組み合わせることで、リスクの高い地域に対する保険商品の見直しが可能になります。これにより、顧客に対してより適切な商品を提供することができます。
<今後の展望>
弊社では今後、様々なデータを入手し、一つの大きなデータベースを構築して、そこから必要なデータを抽出・分析できるようにしたいと考えています。(難易度はかなり高いですが・・)これにより、保険契約データと他のデータとの関連性や新たな法則性を見つけ出し、ビジネスの新たな可能性を探ることができます。何が保険契約データに関連するかは誰にも分かりませんが、広範なデータを収集・分析することで、見落としていたビジネスチャンスを発見することができるかもしれません。
(編集者・傾奇者)
お問合せ先
事例やコラムに関するご照会、案件に関するご相談やお見積は以下のフォームからお問合せください。