DXコラム
2024.09.23
システム構築前に業務フロー図を作成することの大切さ
副編集長の会津藩士です。今回は実業務部門と伴走開発で一部業務をkintone化した際の成功例をお話ししたいと思います。
良く言われるようにシステム化することは家を建てることに似ていて実業務部門の人から何を作りたいのか、現状業務で困っていることは何かなどをヒアリングする必要があります(どんなデザインの家を希望していますか?、内装は?水回りはどうしますか?)。でも、実際はこれがなかなかでてこないのです。特に大型で長い間稼働している業務だと業務資料が古いまま更新されていない、メンバー入替時の引継が少しずつうまくいかずにいつの間にか「人依存」部分が多くなってしまって全体を通して理解している人が実はいない・・・なんて事は珍しくありません。そのような中で業務要件をまとめて欲しいと伝えても時間ばかりが経過し、打合せをしても資料と話しがうまくつながらない、参加している人がバラバラな事を言っているなどでうまく進みません。最後には「今と同じシステムが欲しい」とIT側も「え???」となる事も残念ながら少なくありません。
そこで全体像を俯瞰する為に、業務フロー図を実業務部門に作成してもらうことにしています。業務フロー図であれば普段、実業務部門の中で使っている言葉で整理し、図にすることができます。業務フロー図を作成する中で潜在化している問題点なども浮かびがってきます。日々行っている業務もあれば、年1回しかない業務があったり、普段、各自が行っている業務が部門の中で実はこんな感じでつながっていたのだとシステム化だけでなく業務への理解が深まったりと良い事も多かったと感じています。
実際に打合せで共有された業務フロー図のサンプルは以下のようなものです。業務に登場する人物、具体的な業務・作業内容がぱっと一目でわかるように書かれています。そしてシステム化するにあたって何を実現したいのか、目指す機能などが箇条書きにまとめられています。
図になっていることで業務/データの関係性がIT側も容易につかむことができました。パンフレット依頼など難しい言葉ではなく、分かりやすい言葉で記載することを心掛けることで相互に質問がしやすくなりました。また、「こんな機能は欲しくないですか?」と実業務部門ではあまり意識しない作業への補助機能などの提案ができました。ついつい難しく、複雑に記載してしまいがちですので注意が必要な部分です。
あとはフロー図をもとに吹き出しなどでコメント補足を行い、全体像を俯瞰します。メール送信、自動計算、CSVデータ一括取込&更新など必要な機能を整理してkintone化することで実業務部門にとって使いやすいシステムを提供することができました。
また、最後にちょっと書くだけになってしまいましたが伴走開発と銘打っている通り、実業務部門でも機能実装して今後、部門自身で簡易的な改修を行っていけるようにしています。わかりやすい業務フロー図があることでデータの関係性が明確になって修正影響などを正しく把握することができ、修正後テストも自信をもって行うことができています。
業務フロー図は業務遂行の拠り所であり、変更が発生したタイミングできちんと都度更新、共有するPDCAサイクルを回す事で一層業務への理解が深まり、簡単なkintoneのシステム改修は自分自身で比較的簡単に正しく行うことができます。
最後に実際にこのフロー図を作成し、実業務部門窓口を担当してご尽力いただいたYさんからの感想をご紹介させてください。
<Yさんからの感想>
業務フロー図作成は正直、難しかったです。自分の業務理解を視覚的に見やすく落とし込めるフォームが全く思いつかなかったので、一般的なフロー図を検索して構造を決めて作成しました。
作成開始から大体2、3時間、あとはITとの初回打合せまでの1、2週間で少しずつ更新していました。ちょうど当案件の更改案内中だったこともあり、気付いた点なども記入することができました。
自分の業務理解の復習、そして各工程の必要性と関係性、kintoneに盛り込みたい工程と逆に無駄と感じていた工程の洗い出し、改善提案ができたことが自分にともてプラスになったと今では感じています。
打合せ参加者から業務フロー図や説明が分かりやすいと感想をもらえて、大変でしたが頑張って良かったです。
一から業務フロー図を起こし直すこともあり、大変なプレッシャーやご苦労がある中、コツコツ頑張っていただいている姿にIT側もいつも以上に気合が入ったのは間違いありません。引き続き、機能拡張なども続きますのでITとしても伴走開発の中で支援を続けていきたいとITメンバー一同、考えています。
(副編集長:会津藩士)
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