DXコラム

2025.03.03

システム導入計画で失敗しないための勘どころ

こんにちは。編集部員の”まんでがんうどん”です。

これまで、受入れテストシステム移行を進めるにあたっての注意点などをご紹介させていただきましたが、今回はシステム導入のスタート段階である「システム導入計画」について、失敗しないための注意点をご紹介いたします。

新規ビジネスや業務効率化対応として新規システムを導入したい思いはあるものの、「どのように進めてよいのか?」「なにから始めればよいのか?」など疑問を持たれている方も多いかと思います。また、システム導入の目的や解決したい課題が曖昧なままシステム導入を進めると、目的に合わないシステムが出来上がったり、残念ながら利用できずにお蔵入りすることになることもあります。。。そのため、「システム導入計画」では、導入目的や課題事項、業務要件を明確にして計画を作成することが重要となります。

 
 

■システム導入計画書には何を書くのか?

システム導入計画書では、前述の通り「システム導入の目的や課題事項、業務要件を明確にする」ことが特に重要です。
これらを曖昧なままシステム導入を進めた場合の想定されるリスクは以下の通りです。

<リスク>
1. 導入目的が不明確
【方向性の喪失】
システム導入の目標が不明確であるため、プロジェクトの方向性が定まらず、関係者間での理解や合意が得られにくくなります。
【リソースの無駄遣い】
明確な目的がないため、適切なリソース配分ができず、時間やコストが無駄になる可能性があります。
【投資対効果の不明確】
投資対効果が測定できず、導入後の評価や改善が困難になります。

2. 課題事項が不明確
【問題解決が困難】
システムがそれらを解決できるかどうかがわからず、期待通りの効果が得られない可能性があります。
【ユーザー満足度の低下】
本当に必要な機能が実装されずシステム導入後のユーザー満足度が低くなり、システムの利用が進まない可能性があります。
【コスト超過】
課題が不明確なまま進めると開発工程で課題解決のための追加機能やカスタマイズが頻発し、コストが増加する可能性があります。

3. 業務要件が不明確
【システムの適合性不足】
業務要件が不明確なため、導入するシステムが実際の業務に適合せず、業務効率が向上しない可能性があります。
【プロジェクトの遅延】
業務要件が不明確なため、開発や導入プロセスにおいて追加の調査や変更が必要となり、プロジェクトが遅延するリスクがあります。
【コスト超過】
要件の不明確さから追加機能やカスタマイズが頻発し、コストが増加する可能性があります。

 

これらのリスクを低減するためにも、システム導入計画書に上記3点を明確に記載します。

 

システム導入計画書の構成例としては以下の通りです。

<システム導入計画書の構成例>
1.目的・ねらい
関係者間で共通認識が図れるようシステム導入の目的やねらいを記載します。
2.前提条件
システム導入を行う上での前提条件を明確にします。
3.業務概要
機能要件や業務フロー、非機能要件を記載します。
4.課題と解決策
現状の課題事項とシステム導入による解決策を記載します。
5.セキュリティ要件
システム導入におけるセキュリティ要件を記載します。
6.関連法令など
システム導入に伴い遵守すべき法令などを記載します。
7.移行要件
システム導入に伴う業務移行/システム移行/データ移行の要件を記載します。
8.開発費用
システム導入費用を記載します。
9.導入効果
システム導入後の投資対効果として、定量効果/定性効果の観点で記載します。
10.導入スケジュール
システム導入スケジュールを記載します。
11.体制
体制図や役割分担表などを記載します。

 

上記は、代表的な構成となりますので導入システムの規模などを考慮して、システム導入計画の項目を選択し計画立案を行います。

 

■システム導入計画で特に注意すべき点

上記の通り、システム導入計画書の構成例をご紹介いたしましたが、特に以下の項目に気を付けることで、より効果的かつ効率的にシステム導入を進めることができます。

 

1.目的・ねらい
プロジェクトを進める上で、関係者間の共通認識を図ることはとても重要です。特に目的やゴールの意識を合わせないと、さまざま検討の局面で「なぜこのシステムが必要なのか?」「必要ないのでは?」といった発言がメンバ間で出てくることがあります。このため、関係者間で進むべき方向(目的)を可視化し共通認識を図ることがとても重要となります。

 

2.前提条件
システム導入において必要な条件を記載することで、以降のシステム導入作業をスムーズ進めることができます。例えば、リリース希望日とその理由を明確にすることで、前提条件に沿った作業スケジュールを検討して作業を進めることができます。前提条件が不明確なまま進めた場合は、無駄な作業が発生したり、必要な作業が抜け落ちたりする可能性がありますので、計画時に明確にすることをお勧めします。

 

3.業務要件
実現したい要件を明確に記載します。要件を整理する方法としては、「システム構築前に業務フロー図を作成することの大切さ」でもご紹介の通り、業務フローを作成し全体像を可視化することで業務要件を整理することが重要です。また、業務フローを作成することで潜在的な問題点も明確になり、より効果的かつ効率的なシステムを導入することが可能です。また、非機能要件として利用者数や稼働時間などの性能面での要件を記載することで、システムの可用性や信頼性などの共通認識を図ることができます。

 

4.課題と解決策
課題と解決策を明確にすることで、システム導入による効果を関係者間で共有でき、より効果的な解決策やアイデアを出し合うことが可能となります。課題を明確にしないまま進めた場合、システム利用が進まず、大幅な改修が必要となりスケジュール遅延・コスト増加となる可能性もあるため、計画段階で課題を洗い出ししておくことが大切です。

 

5.移行要件
移行作業は作業スケジュール上、最終段階のフェーズとなりますが、システム導入における移行要件を事前に洗い出ししておくことで、効率的なシステム導入を進めることができます。例えば、データ移行の有無や移行タイミングなどの要件を記載します。移行作業については「システム移行作業で失敗しないための勘どころ」でもご紹介しておりますのでご参照ください。

 

6.導入スケジュール
スケジュール策定においては、特にマイルストンを明確にすることが大切です。マイルストンとは「プロジェクトの重要な中間目標地点」のことであり、遅延が発生した場合はプロジェクト全体に影響を及ぼすポイントとなります。短期的なスケジュールの場合は不要かと思いますが、数ヶ月に渡るようなスケジュールの場合は案件の特性に応じてマイルストンを明確にすることをお勧めします。

 

7.体制
システム導入における各員の役割分担や体制を明確にします。役割を明確にすることでスムーズなプロジェクト運営を行うことが可能となります。特に注意する点としては、システム導入案件の責任者を明確にすることです。責任者が曖昧なまま(不在のまま)の体制で進めた場合、対応方針などを決める人がいないため、メンバのモチベーション低下を含めプロジェクト自体が全く進まなくなることが十分に想定されます。

 

8.関係者間でのキックオフミーティング
システム導入計画書を作成して関係者間に配布するのみではなく、キックオフミーティングを開催し、プロジェクトメンバ全員が目的やゴールの共通認識を図ることが重要です。またキックオフミーティングを通して、各メンバがコミュニケーション方法や役割分担を理解し、メンバ間の信頼関係を築くことが大切です。

 

■システム導入計画をしっかり行うことで得られる効果
システム導入計画は、導入するシステムの目標を明確にするために必要です。目標を明確にすることで、プロジェクトの方向性を確定し、成功に向けた具体的なアクションプランを策定することができます。
また、メンバ間で導入計画を共有することで、チーム全体が目標に向けて協力し、効果的なコミュニケーションを行うことができます。これにより、プロジェクトの進行状況や課題を適切に把握し、意思決定を迅速に行うことができます。

 

以上です。今回は一般的なシステム導入計画書の作成ポイントをご紹介させていただきました。
実際のシステム導入においては、システムの規模や複雑さ、業界の特性などに応じて、より詳細な計画検討が必要となることもございます。またシステム規模が小さい場合や参画メンバが少人数(1~2名程度)の場合は必要最小限の計画としてもよいかと思います。

現在システム導入を進められている方、これからシステム導入をご検討される方の一助になれば幸いです。

 
 

(編集者・まんでがんうどん)

 

【関連記事】
⇒受入テストで失敗しないための勘どころ
⇒システム移行作業で失敗しないための勘どころ
⇒システム構築前に業務フロー図を作成することの大切さ


⇒各種システム導入支援に関するご相談はこちら

お問合せ先

事例やコラムに関するご照会、案件に関するご相談やお見積は以下のフォームからお問合せください。

保険代理店DX支援に関するお問合せ