DXコラム

2024.08.26

保険代理店の募集形態とそのテクノロジー活用方法

副編集長の会津藩士です。今回は最近の保険代理店の募集方法について考えます。

~もくじ~
保険代理店の種類
顧客が保険代理店と募集手続きする際に望んでいること
ハイブリッド型募集
アメリカと日本の募集方法
アメリカにおける保険代理店のテクノロジー活用
日本における保険代理店のテクノロジー活用
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■保険代理店の種類

「保険代理店」はどのようなものがあるのでしょうか。

1. 専属代理店
専属代理店とは、特定の保険会社と契約を結び、その保険会社の商品だけを取り扱う代理店のことです。専属代理店は、保険会社からのサポートや研修を受けることができ、商品知識や販売スキルを高めることができます。また、保険会社との強固な関係を築くことで、顧客に対して信頼性の高いサービスを提供することが可能です。
専属代理店のメリットとしては、保険会社からのサポートが充実している点が挙げられます。例えば、新商品の情報提供や販売促進のための資料提供、さらには営業活動におけるアドバイスなどが受けられます。一方で、特定の保険会社の商品しか取り扱えないため、顧客のニーズに応じた柔軟な提案が難しい場合もあります。
専属代理店は、保険会社との信頼関係を基盤にしているため、長期的なキャリアを築くことができる点も魅力です。保険会社からの評価が高まれば、より多くの顧客を紹介される機会も増え、ビジネスの拡大が期待できます。

2. 乗合代理店
乗合代理店とは、複数の保険会社と契約を結び、それぞれの保険会社の商品を取り扱う代理店のことです。乗合代理店は、顧客のニーズに応じて最適な保険商品を提案できるため、顧客満足度が高いのが特徴です。また、複数の保険会社の商品を取り扱うことで、商品ラインナップが豊富になり、競争力が高まります。
乗合代理店のメリットとしては、顧客に対して幅広い選択肢を提供できる点が挙げられます。例えば、顧客が特定の保険会社の商品に満足できない場合でも、他の保険会社の商品を提案することが可能です。一方で、複数の保険会社の商品知識を習得する必要があるため、研修や勉強が欠かせません。
乗合代理店は、顧客の多様なニーズに応えることができるため、信頼関係を築きやすく、リピーターや紹介客を増やすことが期待できます。また、保険会社との交渉力も高まり、より有利な条件で契約を結ぶことができる点も魅力です。

3. 直販代理店
直販代理店とは、保険会社が直接運営する代理店のことです。直販代理店は、保険会社の社員が直接顧客に対して保険商品を販売するため、保険会社の方針や戦略に基づいた営業活動が行われます。直販代理店は、保険会社のブランド力を活かして営業活動を行うため、信頼性が高いのが特徴です。
直販代理店のメリットとしては、保険会社からの直接的なサポートが受けられる点が挙げられます。例えば、最新の保険商品やサービスの情報提供、営業活動におけるアドバイスなどが受けられます。一方で、保険会社の方針に従った営業活動が求められるため、柔軟な対応が難しい場合もあります。
直販代理店は、保険会社のブランド力を活かして顧客にアプローチするため、信頼性が高く、顧客からの信頼を得やすい点が魅力です。また、保険会社の評価が高まれば、キャリアアップの機会も増え、長期的なキャリアを築くことが期待できます。

4. インターネット代理店
インターネット代理店とは、インターネットを通じて保険商品を販売する代理店のことです。インターネット代理店は、24時間いつでも保険商品を比較・検討・購入できるため、利便性が高いのが特徴です。また、インターネットを活用することで、コストを削減し、顧客に対してリーズナブルな保険商品を提供することが可能です。
インターネット代理店のメリットとしては、顧客が自分のペースで保険商品を選ぶことができる点が挙げられます。例えば、忙しい顧客でも、時間を気にせずに保険商品を検討することができます。一方で、対面での相談ができないため、複雑な保険商品や契約内容についての理解が難しい場合もあります。
インターネット代理店は、利便性とコストパフォーマンスを重視する顧客にとって魅力的な選択肢です。また、インターネットを活用したマーケティングやプロモーション活動を行うことで、幅広い顧客層にアプローチすることが期待できます。

最近では老若男女問わず、インターネットを利用して保険商品などを簡単に比較、検討を行い、そのまま保険申し込みを行うケースが多くなってきています。特に「Z世代」と呼ばれる若者たちはインターネット利用などに小さい頃から慣れ親しんでいるため抵抗がない人多く、対面などに時間を割く必要があることに抵抗を感じる人も少なくありません。逆に高齢の方も慣れてきているとは言え、やはりこれまでのように対面で話をしながら進めることを望まれる方も少なくないのが実情ではないでしょうか。


■顧客が保険代理店と募集手続きする際に望んでいること

手軽にインターネットを利用して申し込みを行うことができるようになっていますが、顧客は何を望んでいるかを考えてみます。

1. オンラインでの簡単な手続き
顧客は、保険の申し込みや契約手続きをオンラインで簡単に行えることを望んでいます。特に、スマートフォンやパソコンからアクセスできるユーザーフレンドリーなウェブサイトやアプリが求められています。オンライン手続きの利便性は、時間や場所を問わずに手続きができる点で非常に魅力的です。また、オンラインでの手続きがスムーズに行えることで、顧客の満足度も向上します。さらに、オンラインでの手続きにおいては、セキュリティ対策がしっかりとされていることが重要です。個人情報の保護や、取引の安全性が確保されていることが顧客にとって安心材料となります。

2. パーソナライズされたサービス
顧客は、自分のニーズに合ったパーソナライズされたサービスを望んでいます。保険代理店が顧客のライフスタイルやリスクプロファイルを理解し、それに基づいた最適な保険商品を提案することが求められます。例えば、家族構成や職業、趣味などに応じた保険プランの提案があると、顧客は自分に合った保険を選びやすくなります。また、定期的なフォローアップや、ライフイベントに応じた見直し提案なども重要です。これにより、顧客は常に最適な保険カバーを維持することができます。

3. 透明性のある情報提供
顧客は、保険商品や契約内容についての透明性のある情報提供を望んでいます。特に、保険料の内訳や、補償内容、契約条件などについての詳細な説明が求められます。顧客が納得して契約を結ぶためには、疑問点や不明点がないようにすることが重要です。また、複雑な保険用語や条件については、分かりやすい言葉で説明することが求められます。これにより、顧客は安心して保険契約を結ぶことができます。

4. 迅速な対応とサポート
顧客は、保険代理店からの迅速な対応とサポートを望んでいます。特に、事故やトラブルが発生した際には、迅速かつ適切な対応が求められます。顧客が困ったときにすぐに相談できる窓口や、24時間対応のコールセンターなどがあると安心です。また、問い合わせや手続きの進捗状況を随時確認できるシステムも重要です。これにより、顧客は安心して保険代理店に依頼することができます。

5. コストパフォーマンスの良い商品
顧客は、コストパフォーマンスの良い保険商品を望んでいます。保険料が適正であり、かつ補償内容が充実していることが重要です。顧客は、自分の支払う保険料に対してどのような補償が受けられるのかを明確に理解したいと考えています。また、保険料の見直しや割引制度なども魅力的です。これにより、顧客は自分にとって最適な保険商品を選ぶことができます。

これらのポイントを踏まえて、顧客が望む保険代理店との募集方法を提供することで、顧客満足度の向上と信頼関係の構築が期待できます。

インターネットで手軽に申し込みができるとは言え、やはり少し不安になったり、オペレータと会話して進めたいなと考える人も少なくありません。特に高齢のユーザは入力作業に不安を感じることも多く、オペレータと一緒に申し込みを進めたいと感じる方が多いでしょう。そこで「ハイブリッド型募集」といわれる方法が多く採用されています。


■ハイブリッド型募集

ハイブリッド型募集は、従来の対面での保険募集とデジタル技術を融合させた新しい募集方法です。このアプローチは、顧客の多様なニーズに応えるために設計されており、利便性とパーソナライズされたサービスを提供します。以下に、ハイブリッド型募集の特徴と利点について詳しく説明します。

1. オンラインとオフラインの融合
ハイブリッド型募集では、オンラインとオフラインの両方のチャネルを活用します。顧客は、ウェブサイトやアプリを通じて保険商品を検索し、基本的な情報を得ることができます。その後、必要に応じて対面での相談や手続きを行うことができます。このように、オンラインとオフラインの利点を組み合わせることで、顧客は自分のペースで情報収集や手続きを進めることができます。

2. パーソナライズされたサービス
ハイブリッド型募集では、顧客のニーズに合わせたパーソナライズされたサービスが提供されます。例えば、オンラインでのアンケートやチャットボットを利用して、顧客のライフスタイルやリスクプロファイルを把握し、それに基づいた保険商品を提案します。また、対面での相談では、専門のアドバイザーが顧客の具体的な質問に答え、最適な保険プランを提案します。このように、デジタル技術と人間の専門知識を組み合わせることで、より精度の高いサービスが提供されます。

3. 迅速な対応とサポート
ハイブリッド型募集では、迅速な対応とサポートが重視されます。オンラインでの手続きや問い合わせは、24時間対応のシステムを通じて迅速に処理されます。また、対面での相談や手続きも、予約システムを利用してスムーズに行うことができます。これにより、顧客はいつでも必要なサポートを受けることができ、安心して保険契約を進めることができます。

4. 透明性のある情報提供
ハイブリッド型募集では、透明性のある情報提供が重要です。オンラインプラットフォームを通じて、保険商品の詳細な情報や契約条件を分かりやすく提供します。また、対面での相談では、専門のアドバイザーが顧客の疑問に丁寧に答え、納得のいく説明を行います。これにより、顧客は安心して保険商品を選ぶことができます。

5. コストパフォーマンスの向上
ハイブリッド型募集は、コストパフォーマンスの向上にも寄与します。オンライン手続きの導入により、事務処理の効率化が図られ、コスト削減が可能となります。また、対面での相談やサポートを必要とする顧客には、適切なサービスを提供することで、顧客満足度の向上が期待できます。これにより、保険代理店は効率的かつ効果的に顧客にサービスを提供することができます。

ハイブリッド型募集は、オンラインとオフラインの利点を融合させた新しい保険募集の方法です。顧客の多様なニーズに応えるために、パーソナライズされたサービス、迅速な対応、透明性のある情報提供、そしてコストパフォーマンスの向上を実現します。このアプローチにより、保険代理店は顧客満足度を高め、信頼関係を築くことができます。


最後にアメリカと日本の募集方法について比較してみます。

■アメリカと日本の募集方法

1. 募集チャネル
アメリカでは、オンラインプラットフォームやアプリを利用したデジタルチャネルが広く普及しています。特にデジタルネイティブな保険会社が台頭しており、オンラインでの手続きが主流です。一方、日本では、対面での募集が依然として重要な役割を果たしています。特に、高齢者層をターゲットにした対面相談が多く行われています。

2. 規制とコンプライアンス
アメリカでは、州ごとに異なる規制が存在し、保険募集人の報酬開示が義務付けられている州もあります。ニューヨーク州などでは、保険ブローカーの報酬開示が厳格に求められています。日本では、金融庁が保険募集に関する規制を統一的に管理しており、募集人の資格試験や継続教育が義務付けられています。

3. テクノロジーの活用
アメリカでは、AIやビッグデータを活用した顧客分析やリスク評価が進んでいます。これにより、顧客に最適な保険商品を提案することが可能です。日本でもデジタル化が進んでいますが、まだ対面での相談や手続きが主流であり、テクノロジーの活用は限定的です。

4. 顧客対応
アメリカでは、24時間対応のカスタマーサポートやチャットボットを利用した迅速な対応が一般的です。日本では、営業時間内での対応が主流であり、対面での細やかなサポートが重視されています。

両国のテクノロジー活用についてもう少し詳しくまとめてみます。

■アメリカにおける保険代理店のテクノロジー活用

1. AIと機械学習の活用
<リスク評価とアンダーライティング>
AIを用いて顧客のリスクプロファイルを迅速かつ正確に評価し、保険料を算出します。これにより、従来の手作業による評価よりも効率的かつ公平な保険料設定が可能になります。

<カスタマーサービス>
チャットボットや音声アシスタントを利用して、24時間対応のカスタマーサポートを提供します。これにより、顧客の問い合わせに迅速に対応し、満足度を向上させます。

2. ビッグデータとデータ分析
<顧客行動の分析>
ビッグデータを活用して顧客の行動パターンを分析し、最適な保険商品を提案します。これにより、顧客のニーズに合ったパーソナライズされたサービスを提供できます。

<マーケティング戦略の最適化>
データ分析を通じて、効果的なマーケティングキャンペーンを設計し、ターゲット顧客にリーチします。

3. クラウド技術の導入
<柔軟なシステム運用>
クラウドベースのシステムを利用することで、保険代理店は柔軟かつスケーラブルなソリューションを提供できます。これにより、システムの維持管理コストを削減し、迅速なサービス提供が可能になります。

<データの安全管理>
クラウド技術を活用して、顧客データの安全な保存と管理を実現します。これにより、データの漏洩リスクを低減し、顧客の信頼を確保します。

■日本における保険代理店のテクノロジー活用

1. デジタルプラットフォームの利用
<オンライン手続きの簡略化>
ウェブサイトやアプリを通じて、保険の申し込みや契約手続きをオンラインで簡単に行えるようにします。これにより、顧客は時間や場所を問わず手続きを進めることができます。

<電子契約の導入>
マイナンバーカードやスマートフォンを活用した電子契約システムを導入し、契約手続きを迅速かつ効率的に行います。

2. AIとデータ分析の活用
<保険金査定の自動化>
AIを利用して保険金の査定プロセスを自動化し、迅速な支払いを実現します。これにより、顧客の満足度を向上させます。

<顧客ニーズの把握>
データ分析を通じて顧客のニーズを把握し、最適な保険商品を提案します。これにより、顧客に対するパーソナライズされたサービスを提供できます。

3. IoTとテレマティクスの活用
<車両保険の最適化>
テレマティクス技術を利用して、車両の運転データを収集・分析し、個々の運転者に最適な保険料を設定します。これにより、安全運転を促進し、事故リスクを低減します。

<健康保険のパーソナライズ>
ウェアラブルデバイスを利用して健康データを収集し、個々の健康状態に応じた保険商品を提供します。これにより、健康増進をサポートし、医療費の削減を図ります。

これらのテクノロジーの活用により、アメリカと日本の保険代理店はそれぞれの市場において顧客満足度を向上させ、効率的なサービス提供を実現しています。アメリカと日本を比較するとお国柄などもよく現れていると感じます。大切なことは顧客視点であり、新しい技術を活用しながら顧客利便性を向上させつつ、効率的に保険代理店業務を遂行できるかが引き続き大切であり、早急に取り組むべき課題の1つであると考えます。

(副編集長:会津藩士)


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